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目黒祐樹さんトークショーレポ

まずはじめに。

話の内容は全て、同日夜ホテルにて書いたメモに、私のなけなしの記憶を照らし合わせたもので、実際に目黒さんが仰った言葉のとおりではありません。
また、語られた内容を順番通り憶えていられる筈もないのに加えて、かなり日にちも経ってしまっているので、とりあえず印象に残ったお話を箇条書き(順不同(^_^;)にしてお送りする、というスタイルにしてあります。
以上、予めご了承下さいね。

んでは、不完全ではありますが、どうか暫しの間おつき合い下さい。

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トークショーは、「十兵衛暗殺剣」の後に行われました。
目黒さんは、一番後ろの席で奥様(江夏夕子さん)と共に鑑賞されており、映画終了後に舞台の上へ。
会場は、品川さんの時と同じく補助イス、補助座布団(笑)まで使用の大盛況ぶりで、無論目黒さんが登場されると大きな拍手が。
「どうもみなさんこんばんわ。目黒祐樹です」という風に、客席に向かってご挨拶された後、綺麗に花の飾られたテーブルを前に、正面の席に着席。
今回司会は「時代劇は死なず」や、「天才勝新太郎」の著者で、時代劇研究家の春日太一さんと、お馴染み大地丙太郎監督のお2人で、大地監督が左、春日さんが右に座られて、いよいよトークの始まりです。

まず最初に、「今年で親父が死んで丁度34年になります」と切り出された目黒さん、その今、こうして近衛さんの映画祭が開かれ、大勢の方が来て下さっていることがとても嬉しいと仰り、「お集まりいただいてありがとうございます」と客席に向かってお礼を言われました。
その言葉の感じからも、近衛さんの息子さんとして、今回の映画祭開催を心から喜んでらっしゃるんだなぁ・・というのが凄く伝わってきて嬉しかったです。

なお、ご存じかとは思いますが、目黒さんは思わず聞き惚れてしまうような美声の持ち主で(←近衛さんもいいお声なのでまさしく(笑)遺伝かと。でも、目黒さんの方がより甘い雰囲気かな)、更に張りもあって良く通り、流石役者さんだなぁ・・と、品川さんの時と同じく感心したことも書き添えておきます。

○十兵衛暗殺剣のこと

「皆さんもご覧になってお分かりのように、この映画は当時としては画期的な作品ですよね」と目黒さん。
例えば、ここまで主役がとことん追い詰められるのも、以前ならあり得なかった状況だそうで。
それに、「それまでの時代劇にはなかった色んな新しいこと、初めてのことを沢山やっているんですよ」とも。

と言うのも、実は近衛さんは、とにかく時代劇で何か新しいことが出来ないかと、常に考えてらっしゃる方だったんだそうです。
例えばみんなが普通に持っている刀を、逆手にしてみたらどうだろう、とか(←勝さんの座頭市で有名になった逆手斬りの元祖が近衛さんなのは、今ではよく知られている話ですよね。ちなみに初披露は「柳生旅日記 竜虎活殺剣」です)、本作で言えば、十兵衛が竹生島に渡る前に、自分の着物を門弟に裂かせるカットをわざわざ挿入しているのも、予め水中戦になることを予測してのことなんだとか。
目黒さん曰く、「着物のまま水に入ったら、袂とか、色んな所から水が入って、確実に溺死します(笑)」と。

なので、あの場面は、きっと近衛さんの意見プラス倉田監督、それに殺陣師の谷さん達が、ああしようこうしようとアイデアを出し合って考えたものなんじゃないかと仰ってました。

それから、

その1
映倫との攻防(笑)

これもそれまでの(東映)時代劇にはなかった部分ということで、本作にかなり残酷な描写が多いことが話題になり、素浪人シリーズのノリしか知らなかった大地監督が、中学生の頃に本作をテレビの深夜放送で見て、死体の目玉が飛び出ている描写にもの凄い衝撃を受けた、という話をされたところ、聞いていた春日さんがすかさず「あの頃はどうやって手足を飛ばすか、ってことばかり考えていた、と(監督が)言ってましたよ」と(笑)
そのせいで、よく映倫から呼び出しを喰らって、かなりカットされたりしたんだとか。
で、「どうして黒澤は良くてこっちはダメなんだよ!!(会場爆笑)」と言うので、又ムキになって余計にやったそうで(笑)
観客の知らないところで、そんな攻防があったんですね~(^o^)

その2
大友さんの存在感

先にも書いたように、本作では十兵衛がこれでもかと言うぐらいぎりぎりのところまで追い詰められるのですが、そのシチュエーションが成立するためには、やはり「大友柳太朗さんの存在感が絶対必要だったと思います」(←目黒さん談)とのこと。
これには聞き手のお2人も大きく同意されていました。
ちなみに大地監督は、同様に十兵衛が追い詰められる「片目の忍者」も大好きです、と。(←常々仰ってますよね)
いつかこちらの方もスクリーンで見てみたいものです。

その3
倉田監督はドS!?

↑↑私が勝手に付けた見出しで(爆)、もちろんお三方の発言ではありません、念のため(^^ゞ
やはり本作の特徴として、リアルな殺陣ということで、近衛さんと大友さんが正味吹き替えなし、湖の中でドロドロになりながら戦う場面が話題になったのですが、その時に目黒さん曰く、「あれは(倉田)監督がね、ああいうのが大好きなんですよ(会場笑)」と。
実は目黒さんも、気を抜くと滑り落ちそうな山の斜面で、十数人と延々立ち回りをやらされてふらふらになったことがあったそうです。
つまり「役者を極限まで追い詰めて人間味を引き出す」(←目黒さん談)方だったということで、本当に素晴らしい監督さんでした、と仰ってました。

以上、「十兵衛暗殺剣」に関してはこんなところでしょうか。
話題の〆に目黒さんが、「息子の自分が言うのも何ですが、当時としては異色作であり、意欲作であり、しかも大傑作であると思っております」と仰っていたのが、真に的を射た言葉で、とても印象に残ったことを書いておきます。

○大友さんは律儀

本当は「~暗殺剣」の話題の時に出たエピソードなんですが、映画の話からは離れるのでこちらに。
大友柳太朗さんという方は、スターなのにとても律儀な方だったそうです。
撮影所では、いつも次に演じる話の台本を声に出して読んでらしたそうなんですが、長い廊下を向こうから歩いて来る時もずっとそうで、すれ違った目黒さんが「おはようございます」と声をかけても返事もされず、セリフを喋りながら歩いて行くので、あ・・集中していて気付かなかったんだな、と思っていると、一区切りついたところでわざわざ引き返してきて、「あ、おはよう」と挨拶されるんだとか(笑)
それでかえってこっちが恐縮したりしてね・・と仰ってました。
大友さんの人柄が忍ばれる、微笑ましいエピソードですよね。

○目黒さん自身が柳生十兵衛を演じるにあたって

萬屋錦之介さん主演の「柳生新陰流」で十兵衛を演じた時、どういうお気持ちでしたか?という、会場からの質問に答えて、色んな所から取材もされるし、「父の当たり役である十兵衛がついに私にまわってきたか、というこで、もう天に昇るような気持ち、非常に嬉しかったのを覚えています(←ラピュタメルマガより)」と仰ってました。
その時に、東映京都撮影所で近衛さんと親しかった衣装の方に、映画で近衛さんが着用した十兵衛の衣装をいただいて、それを着て演じられたんだそうで(←これは「時代劇マガジン」のインタビューでも仰ってましたよね)、その衣装は今でも家にあって、ご自身の宝物になっているそうです。

更に、「十兵衛を演じる」ということに関して大地監督が、ご自身の作品「十兵衛ちゃん2」の柳生十兵衛の声を目黒さんに依頼した時も、周囲からは絶対に断られるよ、と言われていたにも関わらず、二つ返事で引き受けてくれた、というエピソードを話したところ、それを受けた目黒さんが、

「やっぱり十兵衛(を演じる)っていうと、なんか親父の供養のような気がするんですよね」

と。
・・正味このトークで一番心に響いた言葉というか・・目黒さんが息子として、どれだけ近衛さんのことを愛し、また尊敬していたか・・というのがひしひしと伝わってきて、不覚にもうるうるしてしまいました・・(^^ゞ

○近衛さんは野球好き

近衛さんは野球がとても上手だったというのは、既によく知られている話だと思うのですが、野球自体も大好きで、松竹時代は「松竹アクターズ」というチームを作ってらしたそうです。
もちろん監督兼選手で、ポジションは4番でファーストだったとか。
しかも、当時の南海ホークスを現役引退したピッチャーを、強引に引っ張ってきたりして、めちゃくちゃ強いチームだったと(笑)
目黒さん曰く、「そりゃ~監督なんだから、好きなようにできますよね」ということらしいです(笑)

で、それを聞いていた春日さんが、(東映時代には)剣会の人達も、近衛さんのチームに入れられたって言ってましたよ、と、ご自身が取材されたエピソードを披露。
なんでも、「地獄のノック」と呼ばれていた練習があり(笑)、皆さんめちゃくちゃえらい目にあったんだとか(笑)
近衛さんもご自身が好きなことに関しては、結構容赦がなかったのかも知れません・・(笑)

○殺陣の指導はなし

目黒さんは、近衛さんから立ち回りを具体的に教えてもらったことはないそうです。
「見て盗めという感じでしたね」とのことで、「これは兄も多分同じだと思います」とも。
確かに松方さんも、インタビュー等で同様に答えてらっしゃいましたよね。
けれど松方さんも目黒さんも、やはり立ち回りの型が近衛さんに似てらっしゃるなぁ・・と思うので、きっと独自でかなり努力されたんじゃないでしょうか。
ただ、

○仙太の武器は・・

先にも書いたように、近衛さんは常に、どうやったらお客さんに喜んでもらえるかを考えて、小道具1つ、鬘1つにしても、作品ごとに色んな工夫をされていたので、目黒さんと「いただき勘兵衛旅を行く」で共演された時、殺陣では自分にとても叶わない目黒さんに、手拭いに石みたいな重りを入れて、それで戦うことにしてみたら、とアドバイスされ、それが仙太の武器になったそうです。
(←と言っても、未見なんですよね・・いただき勘兵衛。時専さん頼みますよん(^_-)-☆)
目黒さん、家でよく練習してらしたそうなんですが、「上手いこといかなくて、あちこち当たっちゃったりしてね・・」なんて仰ってました。

○近衛さんのDNA

最近目黒さんは、色んなところで「近衛さん」と言われるそうです(笑)
夏に北島三郎さんの公演に出演されていた時も、さぶちゃんがわざと「近衛さん」と呼んで目黒さんをからかってらしたんだとか。
これはここにも書いたかも知れないのですが、今回のさぶちゃん公演で目黒さんが演じたのは水野十郎左衛門で、これは近衛さんも映画等で演じられたことがあり、しかもさぶちゃんの初の座長公演の時のゲストが近衛さんで、二度ほど舞台で共演した縁があるんですよね。
まさに親子二代という訳で、最近の目黒さんを見て、「近衛さん」と言いたくなるさぶちゃんの気持ちも分かるなぁ・・なんて思ったのでした。

それから、脚本家の高田宏治さん(←今回の「十兵衛暗殺剣」をはじめとする「柳生武芸帳」シリーズとか、何より「仁義なき戦い」シリーズで有名ですよね)に、先だって京都映画祭で偶然会われ、挨拶した時も、高田さんがわざとらしく驚いて(笑)、「あ・・近衛さんかと思った」と仰ったそう(笑)

他にも、(これはかなり以前の話だとは思いますが)立ち回り時剣会のメンバーに、「似すぎてて気持ちが悪いよ~」と言われたこともあるとか(笑)
どうも、(殺陣の型とかも)ふとした瞬間にそっくりに見えることがあるみたいで、やっぱりDNAなのかなぁ・・と仰ってました。

で、それを受けて大地監督が、「十兵衛ちゃん2」のアフレコ時、目黒さんの笑い声が近衛さんにそっくりだったというエピソードを披露、「もうそれ聞いて、そのまま帰って(余韻に浸ったまま)寝たかった」と(笑)
これは私も聞きましたが、確かにそっくりなんですよね。
無論目黒さんは全く意識されてなかったそうなんで、これこそDNAなんだと思います。

○左手の秘密

上の話題の時に出たと思うのですが、印象深かったので独立させます。
近衛さんの殺陣の特徴の1つとして、片手斬りしている時に左手を握って、ぐっと前に突き出すポーズがあると思うのですが、目黒さんによると、あれは「親父は、俺は左手でも人を斬っているつもりなんだ、と言ってました」とのこと。
つまり、そこまで殺陣に気迫を込められていたからこそああなった、ということで・・初めて聞く話だったことも含めて、流石は近衛さん、と感動した次第です。

○実はおからは好きだった!?

確か時専の品川さんインタビューでは、「近衛さんはおからが嫌いで・・」とあったように思うのですが、今回会場からの質問に答えて目黒さんが仰ったところによると、「お酒のつまみとしては好きだったんじゃないかなぁ」とのこと。
何回か食卓に並んだことがあるのを憶えてらっしゃるそうです。
ただ、食べるより飲むのが主だった、と言うのと、大吉みたいに、三度のご飯もおからさえあれば・・なんていうのではなかったですよ、と仰ってたので、先の品川さんの話と矛盾する訳ではないんですよね。
つまり、ちょっとつまむ分には良かったけど、あそこまでバカ食いするのは嫌だった、ということなんじゃないかと思います。

そうそう、春日さんがご本人に聞いたそうなんですが、大吉のおから好きは、脚本家の森田さんご自身がそうだったところからきた設定だそうです(^o^)

以上、憶えているのはだいたいこんなところです。
(←あ・・あと、近衛さんが映画から実演に走った理由についての質問もあったのですが、これは残念ながら目黒さんも生まれていない時のことでもあり、真相は全く分かりません、とのことでした)

・・なんだかまたしても長々と書いてしまいました。
流石に近衛さんの実の息子さんのお話だけあって、初めて聞くことも多く、また、司会のお2人のエピソードも興味深く、とても有意義なトークショーだったと思います。
そして何より(何度も書きますが)、目黒さんのお父様に対する愛情の深さがそこここに感じられて、そのことに一番感激しました。

その思いが頂点に達したのは、実は終わりの挨拶時のこと。
目黒さんは、今回の話を聞いた時、自分が出るのはいいけれど、果たしてお客さんが入るのかと心配されたそうです。
それが、「本当に沢山の人にお集まりいただいて・・若い方もいらして、親父が死んで34年経っても親父のことを憶えていてくれて・・親父を愛してくれてとても嬉しいです」と。

そして、

「本当に今日はどうもありがとうございました。どうか今後とも、近衛十四郎を愛していってください」

と、最後に客席に向かって、深々と頭を下げられたんです。
今こうやって思い返してみても、恥ずかしながら涙が出そうになります。
目黒さん、そして司会のお二方、素晴らしい時間をありがとうございました。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

・・・ということで。
レポは以上で終了です。
最後までお読みいただいてありがとうございました。

Megurosansign こちらが当日目黒さんにいただいたサインです(^^ゞ
ものはさぶちゃんの公演パンフレットのご自身のページ。
お忙しい中書いていただいてどうもありがとうございました(^o^)

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